商業登記制度の意義
 わが国は、株式会社・有限会社等の商人を中心に経済活動を行われています。ある株式会社と商取引を行う場合、その株式会社がどのような業務をすることを目的に設立されている会社であるのか、代表権を有しているのは誰であるのか等が不明であると取引をする相手方は、不測の損害を受ける恐れがあります。
 また、商人の方においても、反復継続して商取引をする都度、相手方に自己の組織等を知らせることは煩雑となってきます。
 そこで、商人についての一定の事項を国家が管理する「商業登記簿」に公示させることにより、商取引が安全かつ円滑に行われるように設けられたのが「商業登記制度」です。
 前述したように商業登記は、取引の安全と円滑に行われることが目的としているため、登記の内容に変更があったときには、一定の期間内に登記をしなければならないことになっており、登記をせずにすると100万円以下の過料に処せられます。

商号の登記
 個人商人が営業のために使用する名称を商号として公示する登記です。個人商人のいわゆる屋号を保護するために利用します。
 登記された商号は、同市区町村内においては同一の営業のために登記された商号と類似のものは登記できないので保護されます。
 ※会社の商号は、必ず登記しなければならずので、会社の登記簿に記載される。
 以下の事項を登記します。
  1. 商号
  2. 営業の種類
  3. 営業所
  4. 商号使用者の氏名及び住所
未成年者の登記
 未成年者は、原則として法定代理人の同意がなければ売買等法律行為をすることができませんが、法定代理人の許可があれば単独で営業をすることができます。
 そこで、未成年者が営業の許可を受けていることを公示するための登記です。
 以下の事項を登記します。
  1. 未成年者の氏名、出生の年月日及び住所
  2. 営業の種類
  3. 営業所
後見人の登記
 未成年者に親権を行う者がいない場合や成年者について後見開始の審判があった場合は、後見人が未成年者や被後見人の法定代理人となります。そして、その後見人が未成年者等のために営業をする場合に、その事実を公示するための登記です。
 以下の事項を登記します。
  1. 後見人の氏名及び住所
  2. 未成年者等の氏名及び住所
  3. 営業の種類
  4. 営業所
支配人の登記
 支配人は、営業について営業主を代理する権限を持っており、誰が支配人であるかを公示する登記です。
 ※個人商人の支配人に関する登記。会社の支配人は、会社の登記簿に記載される。
 以下の事項を登記します。
  1. 支配人の氏名及び住所
  2. 営業主の氏名及び住所
  3. 営業主が数個の商号を使用して数種の営業をするときは、支配人が代理すべき営業及びその使用すべき商号
  4. 支配人を置いた営業所
  5. 数人の支配人が共同して代理権を行うべきことを定めたときは、その規定